人の血圧は気温によって変化します。
寒いときには体温を上げるために、血液を強く送り出します。
反対に、暑いときには体温を下げるために、血液を送る力を弱めます。
ヒートショックとは、人体に大きな温度変化があった際に、血圧が急激に上下してしまい、その結果、心臓や血管の疾患が発生する現象のことです。
ちなみに、似た言葉にヒートアイランド現象という言葉もありますが、そちらは都市環境や温暖化に関連する用語ですので、ヒートショックとは何ら関係がありません。
気温の変化が原因と聞いて、
「家の中なら安全でしょ?」
といった思い込みをしている人はさすがに少ないと思いますが、一応補足しておきますね。
ヒートショックは建物内でも発生する現象です。発生箇所としてよく挙がるのは、脱衣所、浴室、トイレなど、暖房器具が設置されていない部屋ですね。
お風呂が妙に長いと思ったら、浴室で親が倒れている! なんてこともあり得ます。
例えば、私の親は浴槽で寝てしまうことが多いのですが、これは気絶しているんじゃないか? といつも思っています。言い聞かせても繰り返すので、ちょくちょく見に行くしかないのですが……。いつか本当に死んでしまいそうで怖いですよ。これとヒートショックの間に因果関係があるのかは分かりませんが、家の中でも家族に危険が及ぶ可能性があることは、みなさまにも知っておいていただきたいです。
何かが起きてから後悔しないように、少しでも事前に対策をしておくに越したことはありません!
高齢者施設ではほとんどが対策をしている
私は前職の仕事柄、老人ホームなどの設計図を見ることも多かったのですが、新築する高齢者施設では、脱衣所や浴室に床暖房を設置している物件がほとんどでした。
仮に床暖でなくても、脱衣所であればエアコンを設置していましたね。
もちろん、住宅と高齢者施設では条件が違います。
しかし、少なくとも、高齢者にヒートショックが起こる可能性が高いということが、世間から認知されているのは間違いありません。
人間の身体は、症状や現象をやせ我慢で防げるようにはできていないのです。
対策をしていない住宅が多いのはどうして?
住宅や集合住宅において、脱衣所などに最初から暖房器具が設置されているケースは、決して多くはありません。
それは単純に、¥費用 がかかってくるからです。
住宅を建てる際には予算の問題が、集合住宅を建てる際には収支計算の問題が、ヒートショック対策を邪魔してしまいます。
そうでなければ設置しない理由はありません。若かろうが寒いもんは寒いですから。
やっぱり費用がかかるなら難しいかな……と、考える必要はありません。
なぜなら、脱衣所などに暖房を効かせる時間は短時間ですから。
例えば、仮に家族5人がお風呂に入るとしても、長く見積もっても合計で4時間はかからないでしょう。
暖房は一日中効かせるわけではなく、お風呂に入る時間帯にだけ使えばいいのです。
少し前に、費用が設置の邪魔をしているというお話しをしましたね。
いくら使用時間が短くても、建物を建てる側には別の費用がかかります。
それは、イニシャルコストの問題です。
日本語に言い換えると導入費用や初期費用あたりが妥当でしょうか。
エアコンにしても床暖房にしても、そういった製品はそれなりにお値段がしますし、設置に関しても業者の人が入ります。そのため、イニシャルコストは高くつきます。
これがヒートショック対策の阻害要因です。
さて、ここで発想の逆転……と言いますか、一般市民としての感覚で考えてみましょう。
- エアコンや床暖房は値段が高い。
- 設置は業者が行う。
これらの問題を解決するにはどうしたら良いのでしょうか?
我が家にもわずかながらの対策を
答えは簡単ですね。
- 値段はエアコンほど高くないもの。
- コンセントに接続するだけで使えるもの。
そう、つまりは家電を使えばいいのです。当然の帰結でしたかね?
かく言う我が家でも、暖房家電を買ったのはつい最近です。
高性能の製品ではありませんが、なかった時と比べると段違いですよ。
お風呂に入る前に電源をつけておくことで、お風呂上がりの脱衣所で体が冷えることはなくなりました。(だからと言って、裸の状態で長らく過ごしても大丈夫ってほどではありませんので、さっさと体を拭いて服を着ましょうね)
買った暖房家電はこれ(↓)です。
コイズミの電気ファンヒーターです。
お値段は約9,000円でした。
似たような商品に色々なものがあったのですが、これを選んだ理由としては……
- 脱衣所の狭さを考えると場所を取らないものがいい⇒幅22.5cm×奥行22.5cm
- あまり高さがあるとうっかり手が当たりそう⇒高さ53cm
- この形状(タワー型?)の中ではまだ値段が安い方←重要!
これらが主な理由です。
また、特徴として以下の機能があります。
- 1~3時間単位で設定できるオフタイマーがある。タイマーの設定を忘れていた場合でも、温風使用時には5時間経過で自動停止する機能もある。
- 夏には送風機として使えるので、シーズンごとに収納する必要がない。
- 人感センサーが付いている。脱衣所は入浴中に温めておきたいから使わないが、トイレに設置する場合には便利かも?
- うっかり蹴飛ばしてしまった場合でも、転倒時には通電を止める機能がある。(そもそも、土台が本体よりも大きな円形だから倒れにくい。)
気になる点はカバーしてくれている感じがします。
そして、ちゃんと知っておいていただきたい欠点もあります。
それは……
- 温風は50cmも届かないような小範囲であること。
なので、温風で直接温めるような使い方を期待している人には適していません。
「それでは暖まらないのでは?」
――と尋ねられると、決してそんなことはないのです。
風が届かないというだけで、室内に熱量を放出することには変わりありません。
よって使用方法としては、直風を浴びるのではなく、部屋を温めておくような使い方が適しています。
そう考えると実質的な欠点はないようなものですが、人感センサーを活かしにくいのではなかろうか? という疑問は残りますね。脱衣所で使う分には人感センサーを使わないので問題ありませんが。
ヒートショック対策は、体を温めること自体ではなく、部屋の間に生じる気温差を小さくすることが肝要です。
そこを正しく理解されたうえで、ヒートショック対策を実施していただければ幸いです。
▼製品の詳細は商品ページにてご確認ください。
以上、『ヒートショック予防をしていますか? 原因と防止対策と住宅事情』でした。