皆さんは掃除のときに何を使いますか?
掃除機?
ロボット掃除機?
まつい棒?
はい、
そうですね。
「
掃除機しか使わないって人は帰ってください。
( `ー´)ノ シッシッ!
続けて質問させていただきますが、
みなさんは箒にこだわりはありますか?
私は持っていませんでしたよ。
つい先日までは――
――先日、
とある婦人と話していたときに、
「箒が欲しい」との話を聴きました。
箒に詳しくなかった私が
「どんな箒が欲しいのか」
と訊ねてみたところ、その回答は
「職人が作った箒」でした。
随分とおおざっぱな答えでしたが、
それがこだわりだと言われれば、
私に異論の挟みようはありません。
丹精込めて作られていれば、
そこには質が生まれるとは思います。
でも、箒の製作過程でそんなにも
大きな差が出るものでしょうか?
と、そんなゆる~いキッカケから、
箒について調べてみました。
箒の種類のような、基礎的な話から
始めますので、よろしくお願いします。
それでは本題へどうぞ!
長さの違い
まずはなんとなくイメージがしやすいであろう、長さの違いから。
長箒(ながぼうき)
柄(え)の長い箒のことです。
具体的には、
床を掃ける長さがあるようなもの。
長柄(ながえ)
長箒のうち、立ったまま床を掃ける箒のことです。
腰には優しいですが、取り回しが悪め。
▽画像の箒は全長134cm
短柄(みじかえ)
長箒のうち、少し腰をかがめなければならない箒のことです。
腰への負担の反面、取り回しが良い。
▽画像の箒は全長79cm
手箒(てぼうき)
柄の短い箒のことです。
具体的には、
手元を掃くような長さのもの。
美容室や床屋で見たことがあるかもしれませんね。
▽画像の箒は全長33cm
(以降、本記事では手箒について言及しません)
用途ごとの呼称
みなさんは、どこを掃除するときに箒を使いますか?
和室? 洋室? 玄関?
私は和室の掃除に箒を使いますが、
その箒は座敷箒とも呼ばれます。
箒は『掃く場所(用途)ごとに呼称が違います』
知らなくても問題はありませんが、
ショッピングサイトで探すときにいろいろな名称を見かけますので、
知っておくと自分の欲しい箒を探すときの参考になると思います。
座敷箒(ざしきぼうき)
座敷箒は、庶民の家が板間から座敷(畳)に移行するときに生まれました。
畳の目に穂先が食い込むため、
ほうき草を用いた草箒が座敷箒と呼ばれるようになりました。
室内向けの箒です。
なお、棕櫚箒(しゅろぼうき)が座敷箒として売られていることがあります。
棕櫚箒は室内向けの箒ではありますが、
座敷のために作られた箒ではありませんので、
広義的には合っていて、狭義的には違うでしょう。
土間箒(どまぼうき)
そのまんま、土間の清掃に用いられる箒の呼称です。
昨今で言えば、玄関、ベランダなどの屋外で用いられる箒と言えるでしょう。
室外向けの箒ですね。
庭箒(にわぼうき)
捻りはなく、庭の清掃に用いられる箒の呼称です。
庭なので室外向けの箒です。
基本的には芝生や砂利を掃くことに適している箒、つまり、穂先が粗く、コシが強い、竹箒や葉脈箒などを指します。
ただし、玄関前やアプローチのように、
場所によっては土間箒の方が適していることもあるでしょう。
穂先の種類
前項では、用途ごとに該当する穂先の種類を挙げました。
憶えていますか?
- 草箒
- 棕櫚箒
- シダ箒
- 化繊箒
- 竹箒
- 葉脈箒
これらの種類の違いや特徴について、
わかりやすく整理してみました!
草箒(くさぼうき)
材料 |
ほうき草の茎や枝(ホウキモロコシというイネ科の植物) |
特徴 | 柔らかく、しなやか。 適度なコシがある。 掃きやすい。 絨毯の上も掃ける。 |
適所 | 畳(板間でも使える) |
馴染み深い。
棕櫚箒(しゅろぼうき)
材料 | シュロの皮の繊維(ヤシ科の樹木) |
特徴 |
柔らかく、しなやか。 |
適所 | 板間(畳でも使える) |
使ってみたい。
シダ箒
シダ科の植物を用いた箒のことで、万年箒とも呼ばれます。
赤シダ箒
材料 | パルミラという樹木の |
特徴 |
太く、コシがある。 |
適所 | 土間、玄関、アプローチ、ベランダ |
あまり使ったことはないかも。
黒シダ箒
材料 | アレンという樹木に巻き付いている繊維 |
特徴 |
細く、コシが弱い。 |
適所 | 土間、玄関、アプローチ、ベランダ |
掃除用具入れには鉄板。
化繊箒(かせんぼうき)
材料 | ポリプロピレン(プラスチック素材。化繊は化学繊維の略。) |
特徴 |
耐水性に優れる。 |
適所 | 水回り、他は箒による |
あまり見覚えがない。
竹箒(たけぼうき)
材料 | 竹の枝 |
特徴 |
固い材質で、穂先の目が粗い。 |
適所 | 庭、芝生、砂利、固い地面 |
屋外ほうき界のレジェンド。
葉脈箒
材料 | ヤシの葉の葉脈 |
特徴 |
固い材質で、穂先の目が粗い。 竹箒と比べて…… |
適所 | 庭、芝生、砂利、固い地面 |
強そう。
以上が箒の基礎知識編でした。
ここで終わるとタイトル詐欺なので、
次項はついに「こだわりの箒」です。
こだわりの箒
【箒職人】さんたちがこだわりを込めて、1本1本丁寧に作っている箒。
座敷箒の生産工程を介して、その魅力に迫りましょう。
ほうき草の栽培
座敷箒(草箒)の生産工程は、穂先の材料であるほうき草の栽培から始まります。
昔は日本でもたくさんのほうき草が栽培されていましたが、時代の移ろいとともに生活様式も変化していった結果、現代では国内で栽培されるほうき草は数少ないです。
こだわりの箒は
こだわりの栽培から。
伝統と技術を途切れさせないように、国内でほうき草の栽培を続ける職人さんたち。
栽培は手作業で行うため、非常に大変でありつつ、コストパフォーマンスも悪いです。
つまり、国内でほうき草の栽培を続けている人たちは、栽培にこだわる価値を知っているのです。
①栽培
肥料と土を混ぜて土を耕して
種を埋めます。
②収穫
成長したら手作業で収穫します。
脱穀作業には専用の機械を用います。
③天日干し
風通しのよいところで乾かします。
不十分だと硬くなってしまいます。
④選別
穂の状態によって選別します。
成長を止めるための煮沸と、
日焼け防止の染色を行います。
目を楽しませる美しいほうき草。
使う人のことを考えたほうき草。
作る人のことを考えたほうき草。
ほうき草の栽培には、推し量れない苦労とこだわりが詰まっています。
箒の製作
時間をかけて選別されたほうき草。
しかし、それらをすぐに編み上げるわけではありません。
良質な穂を選別します。
草箒の掃きやすさに直結する、柔らかさ、しなやかさ、適度なコシ。
さらには軽さや太さ、色味など、視るべきことはたくさんあります。
他にも、毛先の内側と外側それぞれに適している穂など……
箒とほうき草についての
正確かつ豊富な知識と経験が必要です。
それを持っているのが職人さんです。
⑤選別
数あるほうき草から
良質な穂を1本1本選別します。
⑥編む
穂を水に浸けて柔らかくした後、
ほうき草を複数の小さな束にして、
それを串で固定して編み上げます。
⑦天日干し
これが不十分だと、
穂にカビが発生することも。
⑧刺繍
刺繍専門の職人が手掛けます。
見栄えに大きく寄与します。
⑨仕上げ
専用のハサミで穂先を切り揃えます。
他にも全体をチェックして、
必要があれば修正を行います。
完成!!
ここまでを見て、箒職人が特別なことをしているとは感じなかったと思います。
箒以外のジャンルでも同じことが言えると思いますが、
プロフェッショナルは特別な人ではなく、熟練した技能を持つ人です。
「知識 ⇔ 経験 ⇔ 感覚」
これらの技能とこだわりが、箒をより良質なものへと仕上げてくれます。
また、ほうき草が1本1本違うように、
箒の編み方や縛り方などの製作技法も、
職人さんごとに異なります。
そうして、
見た目が異なる箒
使用感が異なる箒
などが生まれるのです。
特に手作りの美しさは、
ほうき草の(柄への)縛り方を見れば、一目瞭然です。
箒の製作には、職人さんの技能とこだわりが詰まっています。
後書き
箒にこだわる人々の気持ちをおわかりいただくことはできましたか?
……正直なところ、業界に関わる人から直接お話を聴ければ、もっともっともっと、良い記事にできるのではないかと思います。これがジャーナリズムの精神ですかね?
本記事を執筆するにあたり、以下のサイトを参考にさせていただきました。
ありがとうございました。
なお、本記事は私がかき集めた情報を、私なりに解釈・整理したものです。
よって、間違えている部分もあるかもしれません。
箒ガチ勢の方がいらっしゃいましたら、ご指摘いただけますと幸いです。
間違っていることがわかりましたら訂正いたします。
よろしくお願いいたします。
以上、『こだわり箒をおすすめする理由は? 種類などの基礎から学ぶ』でした。